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林忠正宛書簡・資料集

林忠正について

林忠正(1853-1906)

林忠正は1853年に富山県高岡市に生まれました。祖父、父ともに蘭方医という家庭に育ちます。1871(明治4)年に上京し、南校(現在の東京大学)でフランス語を学びました。1878(明治11)年に第3回パリ万国博覧会で起立工商会社の社員として渡仏、通訳を担当したことを機にパリにとどまり、当地で美術工芸品を扱う店を構えます。美術商として日本の絵画や浮世絵、工芸品などを販売するだけでなく、豊富な知識と語学力を活かして、日本の文化や美術をヨーロッパの知識人・批評家・芸術家らに紹介し、ジャポニスムの流行を牽引する役割を果たしました。

林忠正

林忠正、ケクラン邸バルコニーにて(1903年)

林宛書簡資料群について

本書簡群は、林がパリのシテ・ドートヴィル7番地に「日本美術の情報と鑑定の店」を構えた1884年から、1905年の帰国、翌年亡くなるまでの27年間に受け取った書簡を主とします。作家のエドモン・ド・ゴンクール(Edmond de Goncourt, 1822-1896)、画商のアルフォンス・ポルティエ(Alphonse Portier, 1841-1902)、宝石商のアンリ・ヴェヴェール(Henri Vever, 1854-1942)、民俗学者のエルンスト・グロッセ(Ernst Grosse, 1862-1927)、ルーヴル友の会の事務局長などもつとめたコレクターのレイモン・ケクラン(Raymond Koechlin, 1860-1931)ら、19世紀末の日本美術愛好家から林に宛てた手紙を含みます。ほか、関連する書簡や資料、林自身が書いた書簡やメモなどの資料も含まれています。これらは東京文化財研究所が所蔵しており、2016年から国立西洋美術館に寄託されています。

書簡群

書簡群